(1)では、会計参与制度の現状についてご説明しました。

今回は企業側に目を転じます。

現在、中小企業では会計をめぐって深刻な問題が生じていて

これを直視することなしに、会計参与制度に関する理解を

深めることはできないのです。

中小企業は一般的に、いわゆる税法ベースで決算書を作成しています。

税金の申告に限って言えば、この方法に問題はありません。

また、同族経営などで利害関係者があまり存在しない場合も

同様かもしれません。


ニーズの変化に要注意

しかし、中小企業が成長を意識するようになると

金融機関や取引先など外部の債権者などの存在感が増し、

決算書へのニーズが変化します。

また経営者が

例えば「うちの本当の財産はどれくらいなのか?」と

疑問を持つようになった場合も要注意。

税法ベースの決算書による情報では限界が来たという

サインなのです。

意図しない会社法違反

実は、税法ベースで決算書を作成すると、

結果的に会社法に違反する場合があることを知っていますか?

税法と会計の専門家である税理士であれば

その辺はもちろん既知のことですが。

減価償却の規則的な償却や

法的債務を網羅的に計上する必要性、など

税法ベースと会社法ベース、

決算書作成に関する定めの違いによって

税法ベースの決算書が会社法に照らせば違反の

“粉飾決算”になるという、

これはのちに問題になる恐れがあるところです。

こうした問題に対する「最後の切り札」として登場したのが

「会計参与制度」であると、法務省の高官が

衆議院法務委員会で語っています。

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会社法に則った決算書の作成、

そして、経営者にとって目標達成のために有用な決算書の活用。

このような役割を担い、会社法が定める役員としてサポートできるのが

会計参与なのです。