今回から、実際に会計参与に就任した例をご紹介します。

A税理士は、顧問に就いている会社の要請を受けました。

その会社は都市銀行から、会計参与設置会社にすることを条件に

継続して融資すると言われたのです。

数10名の社員を抱え、2つの子会社(社員各10名)を保有。

アメリカ、イギリス、ブラジルなど8ヶ国と取引がある会社です。

社長は経営に対して非常に積極的な姿勢を持っています。

A氏は振り返ります。

就任にあたって

「初めてのことなので多少の不安はあったが、

社長とは長年のつきあいがあり、

経理状況を知り尽くしていたので、就任を決意した。

就任の条件として、きちんとした会計システムを導入してもらった。

会計参与は責任が重いので、信頼できるシステムは必須」

その業務とは?

「毎月20日前後に訪問して、

親・子会社3社合わせて6時間をかけている。

4時間でグループ全体を見て、残り2時間で取締役会に出席、

役員として経営助言をしている。

時間が許す限り、例えば内部留保をいかに蓄積するか、

業績はいかに管理するか、といったことを社長と話す」

各国の租税条約を知る必要があった際は、

それぞれの源泉所得税などの取り扱いを調べて

社長に逐一メールなどで伝え、経営に役立ててもらったとのことです。

もちろん3社とも、中小企業指針に基づいた決算書を作成しています。

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